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3×3BLD分析量とその確率の計算、考察

本記事は、Speedcubing Advent Calendar 2015 の18日目の記事です。

1. はじめに
 今回の記事では、3×3のBLDにおいて、ステッカー記憶をするときに必要な文字数、EOやCO、ループの数を計算し、それがどういった数字を取るかの確率分布を計算しました。長い文章になってしまいましたが、つまみ食いでもいいので最後まで目を通して頂けたら嬉しいです。
 Advent Calenderの企画ということで、BLDについてあまり詳しくない人もこの記事を見ることがあるかもしれない、と思ったため、まずはステッカー記憶がどういったものかについて簡単に説明していきたいと思います。詳しく知りたい方はCube Voyageを見てください。また、ステッカー分析できる人には必要ないと思うので、この部分は飛ばして読んで大丈夫です。BLDの用語についてよく分からないという人はCube VoyageのBLD用語集を参考にしてください。ぶっちゃけこの2つのサイトを見れば下に書いたことを読む必要ないです。
 3BLDでは、エッジとコーナーを別々に揃えます。それぞれがどのように崩れているか、をキューブを見ている時にそれぞれ独立に記憶します。この際の記憶方法として一般的なのは、場所をあらかじめ一つ定め(その場所を[A]とする、以下同様)、その位置にあるパーツが本来どこにあるべきか([B])、そしてそのあるべき場所(B)に今入っているパーツが本来どこにあるべきか([C])、というように繰り返し追っていき、その順番を記憶する(B,C,...)、というものです。この情報さえ決まれば、キューブの崩れ方が一意に定まりますし、それにこの覚え方は、実際にBLDをする際に合理的です。最初に定めた位置([A])との2点交換を、記憶したパーツの順番([A]と[B]の2点交換、[A]と[C]の2点交換、...)で行っていけばキューブは揃います。
 この記憶方法の発展として、現在のBLDではステッカー記憶が主流となっています。以前は、COCP,EOEPという3-cycle法が用いられていましたが、これはパーツの位置のみを考えて順列を調べた後、それとは別に向きの情報を分析するというもので、二度同じパーツを追わなくてはならなくなってしまい効率が悪いです。そのため、パーツの位置と向きの情報を同時に考えて順列を調べるという、ステッカー記憶が広まっていきました。パーツ単位ではなくステッカー単位で、先述した順番を追っていくものです。
 大体の場合、パーツ、ステッカーには文字(や数字)を当てはめるので、記憶する順列は文字列で表され、エッジの文字列、コーナーの文字列の二つが出来上がります。その文字列の長さ(文字数)は、スクランブルにより異なってきます。例えば、既に揃っているパーツがある際には文字数が短くなるのは分かると思います。また、パーツを追って記憶していくときに、必ずしも1周で全てのパーツが追えるとは限らないです。順列が複数のループにより構成される場合もあり、そういった場合は、詳しい説明は省きますが、文字数を増やして対処するのが一般的です(独立ループでは始点と終点を順列に加えますが、それらは同じパーツ上にあるため)。
 以上が、ステッカー記憶の説明です。ちなみに、今回はステッカー記憶を想定して記事を書いていますが、今回扱ったパラメータは、CP、EP法でも全く同じ確率分布を取ると考えられます(向きを考えるかどうかの違いしかないため)。

 自分は今年の日本大会の3BLDで、それなりに満足のいく記録を残すことが出来ました。その際に、この結果は単にスクランブルの運によるものかもしれない、と疑問に思ってしまいました。もし運が良かったのであれば、以降の大会において記録更新できる確率は低くなるでしょう(実力が同じだと仮定すれば)。それについて調べてみたいと感じたのが、今回このような記事を書こうと思った一つのきっかけです。また、大会の場面に限らず普段の練習でも、スクランブル運の良しあしがわかるというのは、自分の実力を標準化できるという面で価値はあると考えています。
 普通のスピード競技においては、スクランブル状態とタイムの関係はあまりないか、あっても要素が複雑で分かりにくいと思います(普通のスピード競技はあまりやっていないのでわかりません)。しかしBLDについては、スクランブル状態のまま全体を分析しなければいけないため、最初の状態が全体のタイムに大きく影響すると考えられます。そのため、スクランブル運を調べることに大きな意味があります。
 他にも、あまりに起こる確率が低いbadパターンについて、多くの練習時間を割くのは得策ではありません。それについても、今回考察してみました。

2. 方法
 今回は、手計算では求めるのが難しいと判断し、コンピュータを用いて確率を計算しました。かといって、全通り試すのは相当時間がかかってしまいます。ご存知の人もいると思いますが、コーナーの配置は全部で3^7*8!=88179840通り、エッジは2^11*12!=980995276800通り、約1兆と莫大な数になります。コーナーだけならまだ何とかなります(なりました)が、エッジについては、それなりに性能の高いコンピュータでも、全て調べるのはそれなりの時間がかかります。軽く時間を見積もってみた所、1週間以上かかる計算になりました(最適化が甘いという部分もあるとは思いますが)。そのため、今回はパーツの場合分けを用いた計算の工夫を行いました。詳しいやり方については別の記事に載せ(予定)、ここでは省略します。興味のある人は読んでみて下さい。
 今回はキューブが取りうる配列を全通り調べましたが、実際の大会では、WCAのRegulationにより、極端なラッキーケースは省かれています(そのようなスクランブルしか出ないようになっています)。つまり、今回調べた結果は、大会で実際に出るスクランブルでの確率と比較すると誤差が出てしまうということです。ただ、その誤差はほとんどない(除外されるのは全通りのうち19通りだけ cf. スピソル)ので、今回導出した値で十分近似可能だと考えています。

3. 結果
今回確率を求めたパラメータは以下の通りです。
number: EO,COはイメージ記憶で済ませ、ループがある場合は始点と終点を文字列に加えたときの文字数
EO,CO: パーツの場所は合っているけど向きが違う場合。bufferは除く。つまり、最終的にbuffer以外に残るEO,COの数。
roop: ループの数。bufferが埋まっている場合は、それを1つのループとして見ている。要するに、これから1を引いた数が、始点を自分で設定するループの数になる。
numberを考えればroopの数について考える必要はあまりないですが、文字列にループの終点を含めないやり方もあるため、ここでは考えることにしました。また、ループの始点を探すのは追うよりも面倒なため、それを表した値とも言えます。
mnumber: MBLDの際の文字数。EO,COの際に2文字追加して覚えているため、それを数えた場合の数。
単位は全て%です。一応グラフも載せておきます。雑なグラフですみません。

エッジ

edge.png

egdefig.png


コーナー
corner.png

cornerfig.png



4. 考察
 ここでは、上に書いた結果を自分なりに解釈してみました。確率に対して抱く感想は様々だとは思いますが、一個人による一つの考え方として捉えて頂ければ、と思います。色々と計算している部分がありますが、割と適当な部分も多いため、あまりあてにしない方がいいかもしれません。
 まず問題になるのは、badパターンの出現確率がどれくらい小さければそのケースを無視していいのか、です。例えば全COの確率は0.0001%ととても小さく、現実的にこんなケースが出るとは考えられない(出るかもしれない、と思う人は宝くじを当てましょう)ので、そんな場合の練習をわざわざする必要はないです。これくらい極端なケースであればわかりやすいのですが、実際に無視できるかできないかの境界は、どの辺りに存在するのでしょうか。
 まず、全体の成功率という観点からこの問題について考えてみます。例えば、1%のケースで出るbadケースがあるとします。この場合、このbadケースでの成功率を99%上げるのと、その他のケースでの成功率を1%上げるのとでは、平均成功率(成功率の期待値)は等しくなります。なので、badケースの練習をするのはあまり効果的でないことになります。badケースの練習は一般的に難しく(面倒だし、そもそもケース自体に遭遇しにくいため)、そういった意味でも頻度の低いbadケースの練習は避けたいところです。しかし、一般的には成功率が上がるほどさらにそれを上げるのは難しくなると考えられるので、その他のケースの成功率がこれ以上上がらないぐらい高くなれば、badケースの練習に手を付けるべきなのかも、と思います。結局その辺りはバランスの問題なので明確な答えがあるわけではないですが、個人的には1%ぐらいのケースなら練習段階からほとんど捨て気味になってしまっても良いのでは、と思います。
 ただ、様々な1%ケースを捨てていくと、その捨てられたケースの合計確率が大きくなってしまうことには注意が必要です。それぞれが背反であるとは限らないので単純な足し算ではないですが、1%ケースを2つ捨てるだけで出現確率が約2倍弱にもなってしまいます。捨てるケースは本当に最低限のものに絞るべきでしょう。

 次に、大会としての競技の性質からこの問題について考えてみます。BLDでは、best of 3(3回の試技のうち、一番記録の良いものが結果として残る)という形式をとっています。そのため、スピード競技とは違い、1回だけでも良いタイムを出せればよく、また2回まではミスが許されます。1回badケースを引いたとして、それを捨てても結果にあまり大きな影響がないのです。
 例えば3%の確率で出るbadケースの練習を全くせず、本番では捨てることにします。そうすると、3回の試技で全てbadケースを引き、記録を残すことが出来ない確率は0.0027%です。ありえないですね。少なくとも1回badケースを引く確率は8.73%、内1回だけ引く確率が8.46%、2回だけ引く確率が0.26%です。2回も引く確率ですら、300回大会に参加して1回引くかどうか、ぐらいの低確率です。
 そこで考えるべきなのは、1回だけbadケースを引いたときに、それを捨てることがどれだけ結果に影響するかです。これについては目標により異なるので一概には言えません。たいていのケースではbest記録を目標としていると思われるため、捨てることを考えるようなbadケースではどうせいい記録を残せず、捨ててしまってもあまり目標には影響しないでしょう。ただ、残り2回が必ず成功するとは言えないため、とりあえずタイムを残しておくというのは重要ですし、そのタイムが速いに越したことは無いです。その部分に、練習段階でどれくらいのウェイトをかけるか、というのは個人の価値観によります。自分は、単純なケースで速くなれば複雑なケースでもそれなりにタイムは伸びると考えているので、とりあえず程度で残すタイムを伸ばすために、わざわざbadパターンを取り上げて練習する必要はあまりないのではないか、と考えています。3EOや3COのように専用の訓練をしないとなかなか身につかないケースもありますが、そんなケースはそもそも確率が相当少ないため、捨ててもいいと思います。

 以下、エッジとコーナーそれぞれについて、細かい数字を見つつ、上記の考え方を当てはめていこうと思います。

・エッジ
 通常の場合の文字数の期待値は11.27文字です。個人的には思っていたよりも少ないと感じました。たぶん文字数が多い時のケースの方が、文字数が少ないケースよりも印象により強く残るからでしょう。
 内訳としては、13文字以下のケースが97%弱を占めています。なので、13文字の文字列が安定して覚えられることは一つの目標になると思います。とは言っても、13文字を一読で安定して覚えるのはなかなか厳しいです(自分の場合はそうですし、大半の人がそうじゃないかと思っています)。練習で何とかなる人は良いのですが、そうでない人は工夫が必要になってきます。練習効率を考えても、何らかの工夫をした方がいいと思います。少し話がそれてしまいますが、自分は覚える文字数を減らすために、最初の二文字は覚えず回し始める直前に見てそのまま3cycle手順を回していますし、またループの終点を文字として覚えないようなやり方を練習しています。ただ、13文字安定して覚えられるのであればそれが一番速いと思うので、練習する価値はあるのではないでしょうか。
 さらに、14文字のケースも3.27%と決して低くはない数字です。上述したように、大会の競技(1つのラウンド)で14文字のケースが少なくとも1回出る確率は約9%です。10競技に1回出ると考えると、集中して取り組む必要はないけれど完全に捨てるのは止めた方がいい、ぐらいの所に落ち着きそうな気がします。

 EO数の期待値は0.46で、また0個の場合が2/3近くを占めています。EOを見つけたら少しアンラッキー、ぐらいに思う人もいると思います。手数もかかるし確かにそれは正しいのですが、1/3もの確率で出るケースはしっかりとカバーしておかなければなりません。
 EOの数は、2個以下の場合が99%を占めています。EOをイメージ記憶するのであれば、2個までのやり方は定式化しておくべきです。自分は、どうセットアップすればいいかや反転しているエッジの色など、総合的なイメージで覚えています。2個までなら1回のEO手順で揃えられるので、比較的覚えやすいです。
 3個の場合の確率は1%です。捨てたくなる値ですが、自分は割と真面目に取り組むべきではないかと考えています。細かい理由はCOの所で述べます。その際、2(この二つで処理)+1(バッファと処理)で覚えるべきでしょう。自分もまだあまり定式化できていませんが、細かくパターン分けして定式化するほどの価値は無いように思います。

 ループについては、文字数さえ考えれば考える必要はあまりないですが、同じ文字数でもループの数が違えば分析の手間も違うため、一応考えることにします。また、エッジについてはループの終点を文字数に入れない覚え方もあるので、その点でも考える価値はあるでしょう。
 ループの期待値は2.18個で、思っていたよりも多かったです。つまり、バッファからのループとは別に独立ループが1個あるだけの場合は運がいいということになりますね。内訳は3個の場合が26.8%と結構高く、4個でも6%と完全に無視するのは不安な値になっています。ループが多い場合、分析していくにつれてやる気がなくなっていくのはとてもよく分かりますが(自分だけ?)、少なくとも3ループぐらいなら安定したタイムが出せるように練習でもしっかり取り組むべきです。記憶違いだったら申し訳ないのですが、確かたく君の出した旧日本記録に、3ループのスクランブルで出た物があったというような話もあった気がします。

 マルチブラインドについては後でまとめて記述します。

・コーナー
 自分はレターペアでコーナーを覚えているため、そういった視点での感想になります。
 文字数の期待値は6.97文字でした。レターペア単位だと3.5イメージです。最後の一文字にも一つのイメージを当てはめれば、4イメージになります。2イメージずつでストーリーを作れば、2つのストーリーが出来上がります。8文字の場合も同様に2つのストーリーを作ることが出来るので、これは一つの目安になるでしょう。
 ただ、9文字の場合の頻度が結構高いです。最大でも10文字なため、1,2文字のために1つのストーリーを作るのは効率が悪いです。前の4文字に繋げて、5,6文字で1つのストーリーを作ることが出来るようになると便利かもしれません。9文字と10文字の場合であまり手間は変わらないため、10文字の場合をわざわざ捨てる必要はないように感じます。
 3BLD単発現日本記録保持者によると、「3つCOがあったらくそ」だそうです(cf. TAKU's BLOG)。確かに分析時に3COを発見した時の絶望感はなかなかのものですが、実際に3つCOがある確率は1.8%と、完全に捨てるには微妙な値です。PLLskipの確率が1.4%なので、それと同じぐらい(かちょっと多い)の確率で引くと考えると……正直よく分からないですね。ただ、それ相応の練習が必要な割には出てくる確率はとても低いため、前述したように自分は捨ててもいいと思います。3EOと3COどちらを捨てるか、となれば迷わず3COを捨てます。理由は大体察しがつくと思いますが、COは同じ場所でも状態が2通り考えられ、めんどくさいからです。記憶ももちろん、処理についても単独で処理できるかなど考えることが多すぎます。それに比べればEOは場所さえ覚えていればよく、処理も難しくないので楽です。両方捨てるのは確率的に厳しいので、3EOは捨てない方がいいでしょう。
 また、COが2つの場合は10%弱です。自分は現在、簡単なケース(COが2つ隣接していて単独処理可能とか、全てU面にあって3CO手順がセットアップ無しで適応できる)以外は一個ずつバッファと処理していますが、少なくとも単独処理できる場合はした方が良く、その場合の判別は練習する価値があるでしょう。
 ループは、最大の4ループの場合ですら1%存在します。ただ、前述した通り文字数の多さに関わらず全部練習すべきだと考えているため、ループに関しても多い場合を捨てる必要はないと思います。

 以上のケースを総合すると、エッジについては、ループの終点をしっかり数える場合は、文字数が15文字以上、EOが4個以上は完全に捨てても良く、14文字、EO3のケースは集中的にやる必要はないですが捨てない方がいいです。ループの終点を文字に加えない場合は、ループが4個以下のケースまでちゃんとやっておけば大丈夫です。コーナーについては、文字数については捨てず、その代わりにCOが3個以上ある場合は完全に捨ててしまっても良いのではないか、という結論になりました。あくまで個人の感想なのであまりあてにしない方がいいですが、参考になる部分があれば、と思います。

・MBLD
 ちょっとだけマルチブラインド(MBLD)についても触れます。自分は、MBLDではEO、COを文字列に2文字追加することによって覚えています。結果を見ればわかると思いますが、そのために普通のBLDよりも文字数が増えます。MBLDの際の文字列の期待値は、エッジが12.19文字、コーナーが8.13文字です。どちらも総パーツ数(エッジは12、コーナーは8)よりちょっと多いですね。
 MBLDについては、競技の性質上、DNFが結果にとても大きく影響してくるため、運が悪いケースが来たからといって捨てることは出来ません。自分は、これらの記事(WRCCのMBLD解説記事たち)を参考にしているので、場所を5つ用いそれぞれに4文字ずつ配置していますが、この結果を見ると最後の場所に5文字以上割り振らなければいけないケースはそれなりの頻度で存在することになります。実際に、エッジで13文字以上の確率は39.6%、コーナーで9文字以上の確率は36.4%です。10個挑戦した場合、それぞれ4個弱が該当します。それよりも多い場合だと、エッジは15文字の確率が3%、コーナーは10文字の確率が9.2%と、それなりに遭遇する計算になってしまっています。ただ、普通の場合の確率と比較すれば分かる通り、これだけ文字数が多い場合はほとんどのケースでEO、COが存在することになり、最後はその2文字を加えることが多いです。その場合、一文字目さえわかれば残りの一文字は特定できます(コーナーについては、加える二文字を向きによってあらかじめ決めておけば絞ることが出来ます)。そのため、EOやCOがあったと何となく覚えていれば、最後の一文字はしっかり覚える必要がなくなります。個数が多くなってくるとどうなるのかはわかりませんが、10個ぐらいならこれくらい雑でもなんとかなるような気がします。そのため、数値ほどは文字数は多く感じないです(個人の感想です)。それでも多いことに変わりはないので、文字数が多い時のストーリー作成パターンを、なんとなくでもいいのであらかじめ定式化しておくのが良いのではないでしょうか。


 ここまで練習効率という観点から考察を加えてきました。ですが最初の目的は、与えられたスクランブルの運の良さを調べることです。そこで、実際の大会でのスクランブルで、具体的にこれが運が良いものなのかどうかについておおまかに判断してみたいと思います。今回は日本大会2015のスクランブルを利用し、実際に自分が出したタイムと見比べながら考察していきます。
 自分は、日本配色でU面青、F面赤が基準面、バッファはULB、DFです。標準配色ではU面黄色、F面赤にすれば同様の状況が再現できます。もちろんスクランブルはU面白、F面緑です。
 以下では、既に揃っている状態のパーツの数をCS(corner solved)、ES(edge solved)で表します。英語がおかしいというツッコミは受け付けません。

日本大会2015
予選Aグループ
#1 1:02.72 F2 D B2 U' B2 U' B2 L2 U R U2 B2 R' U B F L B' D R2 Fw' Uw2
コーナー
CS:0 CO:2 roop:3 number:7

COが2個あるので、明らかにアンラッキーです。しかもこの2個が独立で処理できないパターンなのでさらに面倒ですが、配置的にイメージで覚えやすいのは不幸中の幸運でしょうか。Rでセットアップすることにより簡単な3CO手順で処理できますが、当時はそこまで考えておらず、結局それぞれをバッファとの2CO手順で処理しました。
また、今回のケースでは文字数が奇数なため、COを2文字として解釈することで、3cycle手順を利用することができます(2cycleでも同様なことはできますが、CO手順を回した方が速いです)。その場合、COを覚える必要がなくなる代わりに、文字数が4文字増え、11文字となります。流石に多すぎますね。特に今回のケースではイメージで覚えやすいため、わざわざ文字にする必要はあまり無さそうです。
ループも3個(バッファが埋まっているため、追うループは2個)と、決して楽と言えるスクランブルではありませんが、COのおかげで文字数は平均的です。

エッジ
ES:1 EO:0 roop:2 number:11

roopは2個ですが一個既に揃っているため、文字数は11文字と少なめです。EOも無く、覚えやすい比較的ラッキーな配置だと言えるでしょう。

総合
文字数だけみると平均的なスクランブルですが、2COがとても邪魔です。比較的運の悪いスクランブルだと言えるでしょう。
タイムもsub60出来ませんでしたが、とりあえず成功した(決勝もほぼ確定)ということで、その後の試技を落ち着いて行うことが出来ました。

#2 42.00 U' R2 U B2 U L2 R2 D L2 D L B' U F R' D' R' F2 L' U' L2 Fw Uw'
コーナー
CS:2 CO:0 roop:2 number:6

2個既に揃っていて、COも無いため、ラッキーなパターンです。roopが2個ですが、文字数的には楽だと言っていいでしょう。

エッジ
ES: 0 EO:0 roop:2 number:12

1試技目と同様、比較的ラッキーな配置です。文字数は期待値よりも少し大きいですが、それくらいは許容範囲です。

総合
EO、COのない、運の良い配置でした。タイムは42.00と、運を活かした満足のいく結果になりました。

#3 42.13 R2 D2 U B2 F2 L2 D' F2 U' R U L2 R2 B F L F' U L D2 Fw'
コーナー
CS:1 CO:0 roop:1 number:6

とてもラッキーです。COが無く、1ループ(=6文字)なので分析もしやすく、パリティもないです。比較的頻繁に遭遇するケースの中では、最も運の良いパターンのように感じます。

エッジ
ES:0 EO:0 roop:2 number:12

2試技目と同様です。

総合
数字だけ見れば、2試技目よりも少しだけラッキーなパターンです。タイムは2試技目に匹敵する速さでした。
前の2試技が成功しているため、この試技で緊張しなかったのか、と思う人もいるかもしれません。しかし、個人的にmeanについてあまり価値を感じていなかったため、特に緊張することもなく守りすぎない試技を行えました。その結果mean sub50という日本4位の記録を出せたのは完全に予想外でした。

競技総合
平均 CO:0.667 roop:2 number:6.33 EO:0 roop:2 number:11.67
試技を通して、期待値を大きく超えたのは1回目のCO2のみ。それ以外はEOもCOもなく、エッジループも全て2個と、全体的に運の良い試技でした。これだけのmean記録がでたのも頷けます。
ちなみに、エッジの文字数が期待値を超えていますが、これだけから運が悪いと言い切るのは微妙だと思います。EOがあると文字数が減る傾向にあるため、文字数だけを単独で見て比較するのは少し問題かもしれません。今回はEOが全くなかったにもかかわらず平均文字数が11文字台に収まっているため、むしろ運が良い様な気がします。

予選Bグループ
自分が出場したのは予選Aですが、面白そうだったのでBについても調べてみることにしました。細かいコメントは省略します。また、タイムは参考としてさっき測ったものを載せておきます。
#1 DNF(40.80) B2 F2 U' F2 L2 U2 B2 D2 B F' L F U' B2 F' D2 B' F2 L' Fw
コーナー
CS:0 CO:1 roop:1 number:6
エッジ
ES:0 EO:0 roop:2 number:12

#2 DNF(47.05) U' B2 R2 B2 D B2 U' B2 F2 R D' U B' R B2 D' B2 L2 R' D' Rw2 Uw2
コーナー
CS:0 CO:1 roop:2 number:7
エッジ
ES:0 EO:0 roop:1 number:11

#3 54.24 R2 U F2 R2 U' L2 R2 F2 R2 U R F L2 U L2 D L' B2 F2 U2 Rw2 Uw
コーナー
CS:0 CO:0 roop:1 number:7
エッジ
ES:1 EO:1 roop:3 number:11

平均 CO:0.667 roop:1.33 number:6.67 EO:0.33 roop:2 number:11.33
全体的に簡単でした。その割にはそれを活かしきれないタイムになってしまいましたが……。
予選Aと比べると、文字数の平均は等しく、コーナーのループが減った代わりにEOが追加された、といった感じです。3回目のエッジのループが多めなのが少し気になりますが、文字数は11文字と期待値より少なく、そこまで悪いパターンではないです。BグループもAグループと同様、ラッキーだったと言えるでしょう。



決勝
#1 41.16 B L2 B D2 B2 L2 F' R2 D2 L U2 F R D' L2 D' L' F' D2 U Fw' Uw'
コーナー
CS:0 CO:0 roop:1 number:7

よくある、1ループ7文字パターンです。パリティがあることを除けばラッキーパターンの一つです。

エッジ
ES:0 EO:0 roop:1 number:11

1ループ11文字パターンです。これもラッキーですね。

総合
どちらもループが一つでEO,COがないため、分析はとても楽です。結果的に文字数も少なくなり、記憶もしやすいです。ラッキーなパターンの一つです。
本番では途中でコーナーの記憶が飛び、思い出すのに時間がかかりましたが、それでもこの記録(PB)を出すことが出来ました。

#2 DNF(42ぐらい) L' D2 R' F2 R U2 R' F2 D' R F R' D2 U' F2 D B' R U2 Fw'
コーナー
CS:0 CO:0 roop:3 number:9

COはないですがループが多いため文字数もかさみ、決してラッキーパターンとは言えません。

エッジ
ES:2 EO:0 roop:3 number:11

2個揃っているのとループが多いのとでプラマイ0ぐらいでしょうか。少しマイナス要素が多いような気がします。

総合
総じてループが多いです。ループが多いとまだ揃っていないパーツを探す手間がかかってしまうため、同じ文字数でも大変になるような気がします。
それでも本番では比較的速いペースで解くことが出来ました。ただOld Pochmanにおける最後のコーナー1文字を回すのを忘れ、DNFとなりました。まあ忘れていなくてもベストは更新できていませんが。

#3 DNF(55ぐらい) L2 R2 U R2 D' R2 B2 D B2 R2 U2 L' D B' L2 R2 B' F' L' U2 Fw Uw'
コーナー
CS:0 CO:0 roop:1 number:7

1回目と同様、1ループのラッキーパターンです。

エッジ
ES:0 EO:1 roop:4 number:13
最悪です。ループが多いうえにEOもあります。

総合
コーナーは比較的ラッキーな部類に入りますが、エッジが相当厳しいです。特に自分はエッジを音で覚えているため、ややこしくなればなるほど時間が加速度的にかかってしまい、その分忘れやすくもなります。
特に本番では、2回目の試技がDNFだったためこの試技であえて遅いタイムを残す必要が無く、攻めた結果DNFとなりました。ちなみに3試技目は決勝進出者全員がDNFでした。スクランブル自体の難易度に、3回目の試技という状況が重なった結果でしょう。

競技総合
平均 CO:0 roop:1.67 number:7.67 EO:0.33 roop:2.67 number:11.67
COはなくEOは少ないですが、様々なパラメータの平均について期待値を超えています。
予選と比較すると、COが無い分コーナーの文字数が増え、またエッジについてはEOもループも増えています。決して運が良いとは言えないですが特別悪いというわけでもなく、期待値的にもこれぐらいが標準か少し悪いくらいか、ぐらいに感じました。


先日行われた目黒キューブフェスタについても書こうかと思いましたが、この大会では交換分析法を用いたため、確率が微妙に異なってきます。これについても書くと分量がとんでもないことになりそうなので割愛します。要望があれば別記事で書こうかと思いますが、まだ調べきれていない部分もあるためだいぶ先のことになりそうです。

5. まとめ
 ここで確率を計算し、それから考えられることについて述べてきました。長々と書いてきましたが、これらのことは練習中にのみ考えるべきことだと思います。大会での試技中に運の良しあしについて考える余裕があったら、もっと試技に集中すべきです(むしろ本番にそういったことを考えられるような余裕が欲しいです)。
 反省としては、全体的に定性的な評価に終わってしまったため、ほとんどの部分に主観が加わり、曖昧な言い方に終始してしまったことが挙げられます。まあでも確率の定量評価は難しいですよね(言い訳)。だれか専門の方がいたらお願いしたいです。
 また、色々書こうとして詰め込み過ぎたため、内容が散らかってしまったかもしれません。ですがこの記事を読んで頂き、何か一つでも新しい発見があったのであれば嬉しいです。BLDをやったことが無いけれどこの記事を読んだ方……がいるとは思えませんし、この記事を読んでBLDを始めようと思う人なんて物理的に存在し得るのかどうかわかりませんが、もしそういった方がいたら応援しています。
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