記事一覧

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

4×4 OLLパリティ回避法は実用的なのか?

 本記事はSpeedcubing Advent Calender 2017 12日目の記事として書かれています。
 11日目の記事は田中さんのキューブコミュニティについて+運営の立場になって、13日目の記事はあっきさんのSquare-1のLin methodについて、です。

目次
はじめに
0. 目隠し競技における分析について
1. OLLパリティを回避するためは
2. OLLパリティ実用化の壁
おわりに

はじめに


 この記事では、4×4が運ゲーと呼ばれる要因の1つであるOLLパリティを回避するための手順について書いていきます。その手順を理解するのに必要な、目隠し競技における分析というものについても軽く触れたので、この記事を読めば一通り理解できると思います。ちょっと長くなってしまいましたが、お付き合いいただければ幸いです。

 もしかしたらこの記事に多大な期待を寄せている方がいるかもしれませんが、もしOLLパリティを簡単に回避できるのであれば、その方法はとっくに世に広まっているはずなので、この方法がどういった性質のものかについてはある程度予想は付くと思います……


0. 目隠し競技における分析について


 OLLパリティの回避方法を理解するには、『4×4目隠し競技におけるウィングエッジの分析』、つまり目隠し競技における『分析』という概念について理解している必要があります。今回はその部分についてもここで説明していきたいと思います。知っている人はスルーで大丈夫です。
 まずは3×3の目隠し競技(3BLD)に絞って説明します。3BLDでは、普通に見て解く場合と異なり、パーツの種類ごとに単独に揃えていきます。その際、パーツの2点交換を繰り返し行って解いていきます。例えば、有名な解法であるOld Pochman法では、Tpermを繰り返し行ってエッジを揃えていきます(コーナーの2点交換も発生しますが、それは無視します)。

 2点交換だけでどうやって全てのエッジパーツを揃えるかというと、まず基準となる場所を1箇所決めます(BLD用語でバッファと呼びます)。その場所には違う場所にあるべきエッジが入っています(たまにそうでない時ももちろんあります)。その場合、バッファにあるエッジと、そのエッジが本来ある場所にあるエッジを交換すれば、まず1箇所エッジが揃います。
 この処理の後、バッファにはまた別のエッジが入ることになります。これは、ひとつ前に交換を行った対象の場所に入っていたエッジです。次は、新たにバッファに入ったこのエッジに対して、先程と同じ操作をすればいいのです。
 これを繰り返していけば、全てのエッジが揃います。これが、BLDにおける実行パートです。

 ただ実際にBLDを行うには、キューブが崩れた状態から、どの順に実行すれば揃うかを考えないといけません。一回一回バッファを見ることはできません。
 ではどうすればいいかというと、バッファから順にパーツを追っていき、その場所の順番を確認します。そうすると、その順番で、バッファとその場所の2点交換をしていけば、最終的には揃います。これが【分析】と呼ばれています。一般的に場所と文字(ひらがな)を対応させて覚えやすくすることが多いので、その場所の個数を『文字数』と呼びます。この文字数=2点交換を行う数です。なので、最後バッファに戻ってきますが、そのバッファは文字数に数えません。

 ではそうやって分析した文字数が必ず11文字(エッジは全部で12パーツ-バッファのパーツ)になるかというと、そうではありません。
 わかりやすい例では、既に正しい位置に入っているパーツがあるケースが考えられます。その場合は単純に揃っている分だけ文字数は少なくなります。
 また、他に文字数に影響を及ぼすパターンとして、『ループ』の存在が挙げられます。
 先程挙げた例では、バッファから分析開始し、全ての揃っていないパーツを経由し再びバッファに戻ってきました。ですが、バッファに戻ってきてもまだ追っていないパーツが残っている時があります。もちろん、それらのパーツについても分析していかないといけません。
 ではどうするかというと、まだ追っていないエッジのうち好きな1箇所を選び、そこから再び追っていく作業をしていきます。そうすると、いつか最初のパーツに戻ってきます。戻ってきたらそこで分析終了です。それでもまだ分析していないパーツが残っている場合は、またその中の一つから追っていく作業を繰り返します。
 その際、バッファから追っていく場合と違う点は、ループの終わり

 このように、分析した時の文字数、つまり何回2点交換を行えば揃うかは、以上のような要素によって左右されるため、実際にパーツを目で追っていかないとわからないのです。

 ここまでは3×3についての説明でしたが、ここから4×4にも話を広げたいと思います。といっても原理は同じです。4×4ではセンターはバラバラですが、3×3と同様にセンター色を固定して考えます。すると、4×4のエッジ(ウィングエッジと呼びます)が入る場所が決まってきます。
 ただ、ウィングエッジについては3×3のエッジとは異なり同じ色の組み合わせの物が二つずつあります。ですが、エッジの入る場所は必ず一箇所に決まってきます。正しくない方のエッジが、正しい色の向きで入る事はありません(逆向きになら入ります)。少し回してみると分かると思います。
 なので、ウィングエッジについても、3×3のエッジと同様に分析で追っていくことが可能です。この場合、パーツは全部で24個あるので、文字数は24文字前後になります。この文字数の偶奇が、OLLパリティ回避に重要な役割を果たします。

 ここまで、この記事が理解できるくらい大雑把に、目隠し競技の分析について説明してきました。図も載せようと思ったのですが、時間の都合上厳しかったのでとてもわかりづらくなってしまったことをお詫びします。簡潔さのために一部不正確になってしまった部分もあるため、わかりやすくかつ正確な理論については以下のサイトをご覧ください。

はたむランド はじめよう!BLD 第1回
Cube Voyage ステッカー記憶(分析)のやり方


 また、実際にどう分析すればいいのか、という部分については省かせて頂きました。これについては、4×4目隠し競技の解説記事が各所に上がっているので、そちらを参考にしてください。

大村さんの記事
平出くんの記事


1. OLLパリティを回避するためは


 長くなりましたがようやく準備が終わりましたので、ここから本題に入っていきます。
 基本的には、OLLパリティであるかどうかはエッジペアリングを完了させ、下の2層を揃えた後でないと分かりません。その状態で上を向いていないエッジが奇数組あればOLLパリティですね。
 実は、OLLパリティが存在する時に4×4目隠し競技におけるウィングエッジの分析を行うと、文字数は必ず奇数になります(詳しい証明は省略しますが、エッジが一箇所だけ反転している場合を考えるとわかりやすいと思います)。逆に、OLLパリティが無い時は文字数は偶数になります。
 さらに、ウィングエッジ分析文字数の偶奇は、外層を動かしても(R,U,Fなど)変化せず、中列を90度動かした時のみ変化します(偶数の時にRwすると奇数になる)。

 以上の情報を組み合わせると、OLLパリティが発生するかどうかは、【スクランブル状態でウィングエッジを分析した時の文字数】+【OLLまでに中列を何回回したか】の合計の偶奇によって決まり、偶数ならOLLパリティが発生しない、ということです。
 ここまでくれば分かると思いますが、インスペクションでの文字数が偶数/奇数だった場合は、OLLまでに中列を偶数回/奇数回回すよう工夫すれば、「理論上は」OLLパリティを回避出来ます。

(ちなみに、PLLパリティは回避できません。PLLパリティの存在にかかわらず、ウイングエッジの文字数の偶奇は変わらないからです)

2.OLLパリティ実用化の壁


 1.で「理論上」という部分を強調したのは、この方法を実用する、つまり大会でより速いタイムを出すのに用いるのであれば、越えなければならない壁があるからです。
それはもちろん、
①インスペクションでウィングエッジを分析できるか
②中列を偶数/奇数回回す縛りをどう乗り越えるか

の2つです。以下それぞれについて書いていきます。

①インスペクションでウィングエッジを分析できるか
 4×4のウィングエッジは24個あります。ウィングエッジの文字数を数えるためには、これらを全て目で追っていく必要があります。さらに、隣り合ったウィングエッジ二つのうちどちらを分析するかはパーツによって決まっていますが、慣れないうちはその判断にも結構頭を使います。
 このようにただ24個のエッジを追っていくだけでも相当時間がかかります(自分だとこれで15秒弱)。それに加え、ループが切れた場合はまだ分析していないパーツを探し、そこからまた追っていく必要があります。序盤でループが切れた場合は適当な場所からまた再開すればいいのですが、終盤にループが切れた場合は、24パーツの中から残りわずかのまだ分析していないパーツを探さなければなりません。それまでに分析したパーツを覚えられればいいのですが、インスペクションという短い時間でしっかりと記憶までしている時間はありません。そのため、終盤のループの始点はかすかな記憶を頼りに探すことになり、見つかるかどうかは運です。もちろん、なるべく分析したパーツを覚えておいた方が有利なのは確かですし、ループの始点は必ず覚えている必要はあるため、最低限の記憶力は必要です。
 さらに、インスペクション中にセンターも読んでおきたいですが、ここまでの話でわかるようにインスペクションで既に時間がギリギリです。上手く行っても最初のセンターが読めるくらいでしょうか。センターが読めなかった場合そこでタイムロスが発生してしまうため、この方法を用いる際のデメリットの1つになります。

 自分は4BLDをそこそこやっていてタイムはだいたい3分ちょっとくらいですが、インスペクションで分析がギリギリ間に合う時もありますが安定して間に合わせることは難しいです。分析のみ行えばいいので4BLDの能力は必要ありませんが、もし時間に間に合わせるのであれば相当な練習が必要だと思います。

②中列を偶数/奇数回回す縛りをどう乗り越えるか
 通常のyau method(やその他のリダクション解法)では、センターを3つ揃えてからは中列は必ず偶数回しか回しません。対面にある完成したセンターを崩さないためには、入れて戻すという動きしかできないからです。
 なので、センターを先に揃えてしまった方が中列を気にする時間が短くなるので楽ですが、yau methodの方が単純に速い解法なので、以下ではyau methodを用いることを前提に話を進めていきます。
これを踏まえた上で、中列を回す数を調整するには
ⅰ)最初のセンターを揃える際に中列をうまく調整し、それ以降必ず中列を偶数回回すようにする
ⅱ)通常通りに解くが中列を何回回したかを数えておき、3つ目のセンターを揃える時に調整する
の2通りのやり方が考えられます。

 ⅰ)についてですが、まず一つ目のセンターを揃える際に、関係ない列を90度回す・Rwでセンターが完成する際にU2RwU2Rw'する等して、以降中列を偶数回回せばOLLパリティが発生しない状態に調節します。それ以降は、パーツを揃える際は必ず中列を偶数回回す動きをワンセットにして行います。例えば、RwUでクロスエッジのペアリングができる場合も、RwURw'と余計に回します。こうすれば自分が中列を何回回したかは考えなくてよくなり、偶奇の調整をするのは最初だけで済みます。
 欠点としては、通常では1手回せばいい部分を3,4手回す必要が出てくるため、単純に手数が相当かかってしまいます。先読みが遅い人は余計に回している間に先読みをすればいいのでそこまでタイムは落ちないかもしれませんが、上級者の方は従来よりタイムが遅くなる可能性が高いと思います。

 ⅰて手数がかかるという欠点を克服したのがⅱのやり方です。これは単純に中列を90度回した数を数えるだけです。そして、3つ目のセンターを揃える際に回数の偶奇を調整します。普通に入れると奇数になってしまう場合は、上手くパーツを同じ列に寄せ、適当に中列を回して調整します。分析文字数が奇数だった場合、中列のカウントにあらかじめ1を足しておくと、最後に必ず偶数に合わせればいいので楽だと思います。
 もちろん手数は少なくなりますが、解きながら中列を回した数を数えておく必要があるため、4×4を解くのに慣れていないと遅くなったり数え間違えたりする可能性が高いです。ただ、180度回す場合は数える必要がないですし、対面センターを揃える際は側面でセンターをペアにする動き以外は偶数回回す操作なので、数えるべき回数はそこまで多くありません。
 といっても、自分はあまり練習していないためそこそこの頻度で間違えてしまいますし、だいぶ遅くなってしまいますが……。ただ、練習を重ねて慣れれば、この部分のタイムロスはそこまで大きくないんじゃないかと推測しています。少なくともOLLパリティを回す以上のロスにはならないでしょう。



 以上をまとめると、4×4での最も実用的なOLLパリティ回避の手順としては、
1. 気合で分析を間に合わせる、可能ならセンターも読みたいが無理そうなら諦める
2. yau methodで解き、中列を回す数を回しながら数えておく(分析文字数が奇数の場合、あらかじめカウントに+1しておく)
3. 3つ目のセンターを揃える際に、中列を回した数が偶数になるように調整する

4. あとは普通に解くだけ

になると考えています。
 2,3については何とかなりそうだと思いますが、やはり1がどう見ても辛いですね。
 仮にインスペクションで文字数を数えられたとしても、インスペクションでセンターを読む時間が削られてしまい、その分のタイムロスが発生します。それ+中列調整で削られる時間と、OLLパリティにかかる時間を天秤にかけた時にどちらが速いかは……正直よく分かりません。ただインスペクションオーバーのリスクを冒してまでするほどの時間短縮ではないと思います。



まとめ


 ここまでの話からわかるように、OLLパリティは理論上は回避できるが、それを実際の大会に向けて実用化するためには、とても高度な4BLDの分析能力が必要になり、これでタイムを伸ばすのはほぼ不可能という結論になります。素直にOLLパリティを速く回す練習をしましょう。

 ……と身も蓋もない結論になってしまいましたが、実は海外の人でこの方法を取り入れている人が何人かいて、その練習風景を動画に上げているので、それを載せておきます。
more OLL parity avoidance
4x4 36.780 ao20 with OLL Parity Avoidance

 上の方は多分割BLDをメインにやっている人で、4BLDは2分半ぐらいの記録を持っています。
 ただ、下の方はBLDをそこまでやっている方ではなさそうです。
 なので練習次第では、4BLDがそこまで得意でなくてもこの方法を取り入れることが可能なのかもしれないですね。
(まあ4BLD世界大会優勝者で4×4もsub25しているBill Wangがこの方法を使っていない時点で……)


 一応、ここまで書いておいて実際にやってないのはどうなのか、と思ったので自分で上に書いた方法を試した動画を上げておきます。
 センターは読んでません。読む余裕がありませんでした。
 エッジのループは3つですが、両方とも比較的序盤にループが切れているラッキーパターンでした。


 ちなみにこの動画を撮るのに10回ぐらいかかりました。インスペクションで分析が間に合わなかったのが半分で、残りのうちOLLパリティ回避率は5割くらいでした()

 ということで、これを実用的なラインに持っていくことが難しいことを身をもって実感してしまいました。ただまあ、この方法でOLLパリティを回避するのは単純に楽しいので、皆さんもやってみてはいかがでしょうか。
 そのためには4×4目隠し、そしてその前提として3×3目隠しの知識が必要になるので、0章に載せたリンクを是非参考にして頂き、もし興味が湧いたら目隠し競技もやって貰えると嬉しいです。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Y.Y

Author:Y.Y
BLD競技をメインにやっています。

公式記録
3BLD 1/3: 30.62/34.85
4BLD 3:03
5BLD 7:17ぐらい
MBLD 23/25

非公式記録
3BLD 21秒くらい
4BLD 2:37
5BLD 5:56
MBLD 24/25

最新コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。